中国語レベル学習項目重要度一覧表:発音編

ここでは『中国語レベル学習項目重要度一覧表』における「発音」の項目について解説する。表の見方は『中国語レベル学習項目重要度一覧表』を参照。

一覧表(発音部分)

  入門 初級 中級 上級
発音 ☆☆◎◎◎ ◯◯△△△▽▽▽▽▽ ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

発音の特質

「発音」はその重要性が初期段階に集中している。中級レベルでは重要性がガタ落ちし、上級に入るころにはまったく音沙汰がなくなる。

語学はおよそどの言語であろうと発音から始まるものだが、中国語は実用レベルにおける文法が比較的シンプルであり、且つ中国語の文字である漢字は日本人にとって習得しやすいものである一方で、発音は声調という日本語にない概念もあるなど難易度が高いため、その重要性が際立つのだ。

このため、入門初級においては発音が殊の外重要視される。しかしながら、発音は語彙のように記憶に依存する要素が小さく、技術的な要素が大きいので、コツさえつかんでしまえば半ば終わったようなものなのだ。また、語彙のようにエンドレスではないため、初級が終了するころには、その重要性は急降下する。

中級においては、自分の苦手とする発音に絞って練習したり、日常の学習の中で少し発音を意識して矯正していく程度のものになる。上級では発音などよりも、表現方法や表現の内容が大切になるので、発音は二の次の存在でしかない。

発音はセンス

発音は他の学習項目に比べ、音感ともいうべきセンスが重要になるため、その習得速度は個人差が非常に大きい。このため、初級修了レベルになっても苦手な発音がたくさんある、という人も少なくないが、その一方で勉強を始めてすぐにネイティブスピーカーっぽい発音ができるようになる人も存在する。

このため、この表はあくまで平均的な例に過ぎないものと理解してほしい。個々の学習プラン構築においては、個人的要素が非常に大きいので、それぞれの状況に応じて柔軟に対応していく必要がある。

発音に対する学習者の価値観

また、発音については、学習者の求めるレベルに応じてその重要性が大きく変化する。美しい標準中国語発音を追及したい、という学習者は、入門初級から上級にいたるすべての段階において、発音の重要性が高くなる。

一方で、発音は意思を表示する言語を乗せる媒体でしかない、と割り切れる人は、発音については一応のレベルに達してしまえばそれで良いので、特に中上級レベルにおける発音の重要性はいっそう低くなるだろう。

この点については個人の価値観によるところが大きいので、筆者からどうこう言うものではない。なお、この点についての筆者の立場は発音講座で詳述しているので、興味があれば読んでいただきたい。