中国語習得フィージビリティスタディ

「達人」を目指すにせよ「マスター」を目指すにせよ、曲がりなりにも一つの言語を身に付けるというのは、人生の一大プロジェクトだ。では、中国語習得をプロジェクトと考えるのならば、まず何をすべきなのか。

そう、フィージビリティスタディ(ちなみに中国語では"可行性研究"と言う)である。たかが語学大げさと思われるかもしれないが、放棄の選択も含めて、中国語学習の効率効果を最大限のものにするためには、これが不可欠なのだ。

「自己」と「対象」

では、具体的には何を行えば良いのだろうか。中国語習得への道を構成する要素は多種多様であるが、大別すれば「自己」と「対象」に分別できる。「自己」とは学習を進める自身の各条件で、学習計画構築の主要材料となる。「対象」は言うまでもなく「中国語」だ。これは変数の多い「自己」と比べ限定的で、重要な要素とはなるが、その評価は比較的簡単だ。そこで、ここではまずは「自己」について考えてみたい。

自己

「自己」はさらに次の3つの要素に分類することができる。

目的

学習の目的、ここでは中国語を習得する目的を指す。これは費用対効果を計る上で基準となる項目であり、非常に重要だ。

具体例を出すのならば、例えば「突如中国赴任を命じられた」「就職活動のアピールポイントとしたい」「中国旅行に行く」「中国に赴任する夫についていくことになった」などがこれに当たる。

また、同じ「中国赴任」でも、業種、役職によって必要とされるレベルはマチマチだ。「就活」の場合は中国語以外の選択肢も数あるのだから、それらと比較する必要がある。「旅行」のような趣味の範疇に入るようなものは、経済的価値は相対的に低くなる場合が多く、投入は自ずと限られたものとなる。無論、その分要求される能力も限定的だが。

性格

外国語習得は一過性の資格試験とは異なり、長期的な取り組みが要求される。「語学は根気」とも言うが、長続きする性格か否かはかなり決定的な要素となる。

根気以外にも、社交的なのか、研究肌なのか、浮気性なのかなど、学習者の性格に応じて選択すべき学習方法は変化する。相性が良い学習法は、その学習効果が相対的に低くても、効果は高くとも相性が合わない学習法より良い結果を期待することができるのだ。

環境

学習者が置かれている環境も重要な要素となる。例えば、社会人と学生では学習に配分できる時間に大きな差がある。また、同じ社会人でも時間的ゆとりは千差万別であり、残業漬けの人もいれば、定時で退社することができるような人もいる。また、多忙期と閑散期がはっきりしている人もいれば、年間を通じて一定である人もいるだろう。

時間ばかりではなく、投入できる資金もまた大きな差がある。先の社会人と学生の例に例えるなら、投入できる資金量は往々にして時間と正比例し、社会人の方が資金的にゆとりがある場合が少なくない。

対象

「対象」についてはわかりやすいと思う。ここでは中国語だ。ただ、一言で中国語と言っても、「自己」の「目的」次第でその実体はかなり異なってくる。

例えば、中国へ急遽赴任を命じられたような場合は、取り敢えず一言二言でも話せるだけの会話能力が重要になるが、学生で就職対策として位置づけている場合は、会話能力よりも検定試験資格のような履歴書に記入できるものの方がより重要になろう。

設計の重要性

「敵を知り己を知れば百戦危うからず。」とはかの孫子の言葉だが、中国語の習得についてもまったく同じことが言える。面倒に感じるかもしれないが、これらの要素を総合的に分析し、自分にとって最も効率的効果的な学習プランを構築することが、中国語習得の近道となるのだ。

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