バランス
初級学習編の最後で好き嫌いに合わせて多少バランスを崩しても問題ないとしましたが (※参照:「中国語学習「初級」補足編」)、中級中後期では全体的にバランスの調整を図るようにしてください。
バランスの重要性については「中国語学習の最適化」で詳述していますのでここでは割愛しますが、簡単に言えば「苦手としている分野を重点的にカバーしろ」ということです。
一つでも飛びぬけてレベルの低い分野が存在すると、全体が足を引っ張られてしまいます。HSKが総合スコアだけでなく各項目別のスコアも重視する所以はここにあるのでしょうね。
語感の養成
中国語習得の鍵がバランスにあるとしたら、中国語運用の鍵は語感にあると言ってもいいかもしれません。
先に理系型の人間は語学に向かないとしましたが(※参照:中国語学習のための自己分析と習得目的の明確化)、文法という型に単語を埋め込めばいいという発想の学習者が躓くのがこの「語感」。この良し悪しが中国語運用において決定的な要素となることも少なくありません。
語感が悪いとどうしても不自然な、外国語から翻訳してきたような中国語になります。
「文法は問題なし。語彙も豊富。でも何かヘン。」
という中国語は、語感の欠如によるものなのです。
逆に語感が良いと、自然な、如何にも中国語らしい表現になります。発音の良い人は一言二言の間「中国人」でいることができます。一方語感の良い人は始めから終わりまで「中国人」でいることすらできてしまいます。
厄介なのは語感は文法のように丸暗記できないこと。語感は長時間中国語に触れることによって少しずつ、少しずつ育成する他ありません。
中級で多聴多読が重要になるのは語感を養成するためでもあります。精読精聴になじんでしまうと多聴多読は勉強している気にならないかもしれませんが、これも非常に重要な学習なのです。
なお、最近は中国語の語感を学ぶための書籍も出版されるようになりましたから、中級レベルに達したら先に読んでおくといいかもしれません。次の書籍がおすすめです。
中級のゴール
中級のゴールを資格試験で見るならば中国語検定準一級、HSK8級です。
このレベルに達すると実用レベルの中国語の運用はほぼ問題ありません。もちろんビジネスの場面でも十分通用します。
リスニングは訛っていなければほぼ問題なし。ただし、映画は聴き取れない部分が少なからずあるかもしれません。
リーディングは活字の好き嫌いはあるかもしれませんが、古文体でもなければ読解上の問題はないと思います。
また、このレベルになると母語である日本語での会話の癖がそのまま中国語の会話でも表れてきます。日本語で早口な人は中国語でも早口、口上手な人は中国語でも口上手、口下手な人は中国語でも口下手になります(笑)。
ライティングも然り。文才あるなしの差が明確に表れてくるレベルです。これは中国語能力というよりも言語運用能力の差といった方がいいかもしれません。