中国語学習「中級」インプット(リスニング)学習編

本項では「中級学習の華」こと「多聴多読」インプット学習について考えてみたいと思います。

中級学習を「楽しむ」

中級レベルは既に基本文法が完成しているので、生素材で学習をすすめていくことができます。つまり、ニュースや新聞、テレビドラマや映画、読書、果ては芸能雑誌やスポーツ紙ですら学習素材としてしまうことができるのです。

これをテキストとにらめっこし、ひたすら発音を練習し、文法を例文と共に暗記してきた初級学習と比べるならまさに天国。ついに「楽しみながら」中国語を学習をできるレベルに達したのです。

「語学とはテキスト・単語・文法の暗記である」

と思い込んでいる方、考え方を変えてください。中国語の中級は長く、また学習対象となる語彙も多い段階です。初級のノリで学習を続けては「さまよう」のがオチで、自虐的語学マニア系(※)の学習者以外はたいてい力尽きてしまいます。

※注:「一日100個単語を暗記して90個忘れても、一年で3650個の単語を覚えられる」と計算して、それを永遠と実践し続けられるような人

長く、また学習対象も広い段階であるからこそ、楽しみながら学習をすすめることが重要になってきます。楽しみながら学習するからこそ学習が続くのであり、また学習効果も高くなります。

中級を「さまよう」のか、それとも「楽しむ」のか。中国語上級への道はこの一点にかかっていると言っても過言ではありません。

中級の多聴リスニング

生素材を使用した中級の多聴多読学習は楽しむのが基本です。自分の興味に合わせて素材を選択していけばいいでしょう。

ただし、中級初期段階では中国語力に限界があるので、特にリスニングの生素材はなかなか聴き取れないと思います。そこで、例えば初級の項でも紹介したような「CD付の中国語学習雑誌」を利用するのがおすすめです。

このレベルだとニュースやインタビュー系の音声ソースについては一度スクリプトに目を通せばある程度聴き取れるものですから、何回か聴いたらスクリプトに目を通してしまって、「聴き取れる」多聴を楽しむのがいいでしょう。

聴き取れることを実感することは楽しいばかりではなく、自信にもつながります。これまでの学習成果を肌(耳)で実感できるのですから。

もちろん学習雑誌だけでは量が足りないので、スクリプト付きのニュースソースを利用することをおすすめします。オンラインで中国語放送を見たり聴いたりすることができるサイトもありますので、スクリプト付きのニュースを探してみてはどうでしょうか。

映画・ドラマの利用

また、この段階では映画やドラマはほとんど聴き取れませんが、映像がある分なんとなく内容は推測することができるので、ニュースに比べれば楽しめるのではないかと思います。

とは言ったものの、それでもやはり内容を知りたいというのが人情というものです(笑)。

そんな学習者には陳凱歌監督の名作、『さらば、わが愛/覇王別姫』がおすすめです。

この映画は(私の知る限りにおいて)唯一、中・日対訳のシナリオ集が出版されている中国映画です。

英語学習の世界では既に広く普及している映画を利用した学習法ですが、中国語学習界ではまだまだ。近年中国映画が台頭してきていますので、この手の教材も今後ボチボチと出版されるとは思いますが。

また、中国語の学習という点から言えば映画よりドラマの方がより相性が良い(※参照:「中国語多聴学習のための映画・ドラマ活用法」)ので、スカパー!の中国語放送のような衛星放送を利用するのもおすすめです。

ドラマや映画を学習する前に、頻繁に使われる口語やスラング表現について一通り見ておくと、幾分楽になるかもしれません。

ここではおすすめの書籍を挙げておきます。

『中国語のスラング表現―映画・ドラマ・音楽が楽しめる!』
『本音と建前がわかる中国語口語表現』
『中国語で言ってみたい「この一言」』
『ネイティブがよく使う中国語表現』

中級中後期の多聴

中級中期になるとニュースの聴解はほぼ問題なくなり、後期になれはドラマもそこそこ聴き取れるようになると思います。

注意すべき点として挙げられるのは、このレベルに達するまでの間、リスニングソースがニュースなりドラマなりに偏っていた場合は、聴いてこなかった分野も聴くようにすることぐらいでしょうか。

このレベルになると訛りのある中国語の聴き取りに対して色気を感じるようになると思いますが、これは上級レベルの学習者が必要に応じて行えばいいことなので、中級ではおとなしく標準の範囲内にある中国語リスニングソースを使用してください。

これは、訛りのある中国語を聴き続けることで、自分の発音に影響が及んでしまうことを恐れるためです。

なお、このレベルに達するとリスニングは学習の重点から外れていきますが、継続して聴き続けるのも大切です。

勉強している、という意識で聴くのではなく、娯楽のつもりでリスニングを楽しめばよいでしょう。

面白い会話表現に遭遇したら、メモして覚えてしまうのもアリです。

中国語でリスニングを楽しめる。これがこれまでの努力に対する報酬です。

中級の多読リーディング

リーディングについては「レベル別で考える中国語学習者のためのリーディング学習」で詳述していますので、ここでは割愛させていただきます。別途ご参照ください。

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