最後に初級レベルのまとめをサクッとお話します。
つまらない初級
前回までの解説から見てもわかるように、初級レベルの学習は「テキスト中心」で「発音」「文法」に重点があるなど、いわゆる語学らしい勉強を強いられます。
映画やドラマなどのような生素材はまったく聴き取れず、本を読もうにも漢字だらけでめまいを催し、会話しようにも言いたいことがまったく言えずただ作り笑顔で口元を引きつらせるのみ……これでは挫折するなという方が無茶なのかもしれません。
中級以降は「量」に比重が移ってくるので学習素材の選択に幅が出てくる(※注:この点は中級編で詳述します)のですが、初級は基礎・土台を作るのが最重要課題なので、どうしても学習の「質」を追及せざるを得ず、学習素材の選択も限られてしまうのです。
この学習ストレスをどれだけ許容できるのかは個々の学習者の性格に依存するものですから、本人が一番わかっていると思います。
ただ、唯一の救いは中国語の文法項目が少ないこと。このため他言語に比べ初級レベルの学習に割く時間は相対的に短くなります。
逆に言えば中国語がダメなら他の言語も期待薄であること。人生最後の語学だと思って挑戦してみてください。
新しい学習法
これは入門レベルでも言及したので繰り返しになってしまいますが、根気に自信がない方はパソコンソフトを使って学習を進めるのもアリです。
パソコン学習ソフトはテキストに比べ動的でゲーム性も強く、学習ストレスが大幅に軽減される作りになってますから、従来のテキストベースの学習で挫折してきた人にとっては現状最適な学習方法と言っていいでしょう。
なお、中国語学習ソフトウェアについては「総合中国語学習ソフトウェア」で詳述してますので、別途ご参照ください。
中級への移行
独学の学習者にとって何を以って中国語初級終了と見なすかはある意味一つの問題かもしれません。
中国語学校などで学ぶ場合は学期というものが存在しますし、期末試験などで学習成果を確認することもできますが、テキストベースの独学の場合はそのような指標となるべきものが存在しません。
一応はテキストの終了を以って一段階の終了とし、学習成果は中国語検定などの資格試験で見るという形になると思うのですが、テキストの進捗状況と試験日程がうまく噛み合うとは限らないので、学校のカリキュラムのようにはいかないのが現実というものでしょう。
そこで問題となるのが中級への移行時期とその方法です。まず、学習成果を見る方法ですが、資格試験はタイミングが難しいので、本番の試験ではなく過去問を使って確認してしまいましょう。
初級レベルの学習度を測るには中国語検定3級がいいでしょう。まったく歯が立たないようでしたら改めてテキストに戻ります。結構やり込んだのに成績はいまいち、という場合はこれまでの学習方法を見直した方がいいかもしれません。
ただし、本番の試験ではないのですから、「合格点に達しなかったら一律不可」とする必要はありません。自分の苦手としている部分、足りない部分が浮き彫りになりますので、それらの項目について確認するだけでも十分です。
なお、試験問題は複数行ってください。試験には慣れというものがありますから、初回は想像以上に低く評価されることが多々あります。
独学の強み
移行時期の見極めが難しい独学ですが、逆に言えば、そもそも独学学習者はカリキュラム風のカクカク型学習プランを実践する必要はないのではないでしょうか。
誰でも得手不得手はあるもの。得意分野、苦にならない分野については先行して中級レベルの学習素材を取り入れていってもなんら問題はありません。
例えば聴くことが苦にならない場合は積極的に生素材を聴いていき、語彙学習が苦にならない場合は中級語彙に分類されるような語彙もどんどん単語を覚えていけばいいのです。
確かにバランスは重要ですが、これは後日いくらでも調整することができる訳ですから、伸び伸びとした学習環境を自分で作っていった方が学習効果はより高くなります。
独学の強みはこんなところにもあるのです。