まず始めに申し上げておきますと、中国語のリーディングは日本人にとって障害になるものではありません。
「中国語は難しい?」でも言及しましたが、表意文字である中国語はもともと閲読性に優れている上、日本人は母語の一部として漢字を使用しているためです。HSKで総合では3級なのに閲読のパートは7級だという日本人が少なくないのはまさにその例証と言っていいでしょう。
だからといって日本人であることに胡坐をかく訳にはいきません。あくまで中国語は中国語であって、日本語ではないのですから。
リーディングの役割
何かと疎かにされがちなリーディングですが、実は中国語学習においては非常に重要な役割を果たします。
特に中級以降の学習者にとって、リーディングはより洗練された中国語表現を身につけるためには不可欠の学習法です。
このあたりの話の詳細については総合的な中国語学習法のモデルケースを例示する際に譲ります。
「翻訳法」の弊害
話を戻します。
日本人の中国語リーディングにおける最大の問題は和訳癖です。これは中学高校の外国語教育によって培われてきた伝統で、多くの日本人は反射的に翻訳しようとする癖がこびりついています。
この癖は優秀だった人ほど顕著に見られるような気がします。「優秀」な彼等は高速和訳して理解する技術に長けており、驚異的な速度で和訳していきます。
翻訳法の弊害については会話の項でも言及しましたので繰り返しになるかもしれませんが、翻訳法は速度低下の最大の原因となります。趣味程度の中国語という話でしたら一向に構わないのですが、ビジネスで使うなどより実用的な中国語能力が要求される場合において速度の低下は致命的な問題となります。
中国語のE-Mailを辞書を引きながら読んでいては、速度を要求されるビジネスの世界などではあっという間に取り残されてしまいます。日本語を読むのと遜色のない速度で中国語を処理する能力が必要とされるからです。
翻訳法は「プロ」の技術
そもそも「翻訳力」は一種の通訳翻訳関連技術で、通訳者、翻訳者等の中国語のプロが要求される能力です。
そんな高度な技術を、中国語力の乏しい人が使用すること自体無理があります。多くの人が中国語のまま理解する方が難しいと思い込んでいますが、その実は和訳する方が遥かに高度な技術なのです。
翻訳法のまま高度な中国語を運用できる人はいわば天才です。自分の才能によほどの自信があるなら止めませんが、これから中国語に取り組む人にはこんな難易度の高い方法は選択しないことをおすすめします。まずは頭から日本語を追い出すことから始めてください。
具体的な方法論については「中国語脳」で言及しておりますので、別途ご参照ください。