中国語は日本語と文字を共有しているという特殊な事情があるため、単語学習法一覧の中で紹介した単語学習法をそのまま中国語単語学習に使用できるとは限りません。
そこで、日本語と中国語の関係を踏まえた上で単語学習法を構築する必要があるのですが、その前に『中国語の漢字と日本語の漢字』と『中国語の落とし穴』をご参照ください。その上で話を進めたいと思います。
常用漢字
これは『中国語は難しい?』でも述べてきたことですが、日本人が中国語単語学習を進める上で有利なのは日本語と中国語で多くの語彙を共有していることです。
「経済」や「法律」など日本語と中国語で全く同じ語意を持つ語彙が多数ありますので、中国語を始めた時点で既に数百の語彙をマスターしていることになります。
また、日本人は熟語のみならず漢字そのものについても相当の知識を持っています。日本政府が指定している常用漢字は1945字ですが、中国語における常用字が3000であることを考えると、日本人の漢字識別能力が相当なものであることがお分かりいただけると思います。
中国語においても大半の語彙はこの3000の漢字を組み合わせて形成されているものなので、日本人にとって中国語語彙の意味を取るのは極めて簡単なことなのです。
単語学習も耳から
ただし、これには前提があります。漢字は表意文字ですから、字さえ知っていれば一目瞭然です。
ところが、日本語と中国語では発音に大きな隔たりがあるので、同じ漢字でも読み方が全く異なっています。つまり、見ればすぐにわかる単語でも聴いてわかるとは限らないのです。
このため、日本人が中国語単語学習を進める上での重点は単語を耳で「聞いて」も意味を取れるようにするところにあります。
日本人の場合はどうしても漢字に依存しがちですが、単語学習においては過度の漢字依存は禁物です。この点は常に意識しながら単語学習を進めるようにしてください。
なお、この「聞いてわかる」についてはリスニングの要素も多分に加わってきます。もちろん正しい発音の習得はこの大前提となります。結局発音から逃げられないのが中国語の辛いところです。
受動語彙と能動語彙
語彙力は大きく二つに大別することができます。一つは受動的語彙力、もう一つは能動的語彙力です。
受動的語彙力とは「見て/聞いて」わかる語彙力のことで、リーディングとリスニングにおける語彙力です。
一般に受動的語彙力の方が多く、能動的語彙力の方が少なくなりますが、漢字の知識が豊富な日本人の場合はその傾向がより顕著になります。
そこで、中国語単語学習においては学習初期の段階から能動的語彙力の増強に重点をおいて学習を進める方がより大きな効果を発揮します。
簡単に言えば中→日ではなく、日→中の方向で単語を覚えると言うことです。中→日の方向で中国語の単語学習を進めると、実質的な単語力がいつまで経ってもつきません。
以上の点を踏まえた上で、日本人のための中国語単語学習法を考えていきたいと思います。