中国語会話初級から中級、そして上級へ

初級者の悩み

初級者が中国語会話を実践する上で障害となるのは多くの場合語彙です。能動的語彙力が低い場合単語が出てこないので、どうしても会話が途切れがちになります。

上手に「言い換え」をすればある程度は会話になるのですが、文章構造の簡略化とは違って語彙の「言い換え」には限界があります。だからといってすぐに能動的語彙力を高めることができるのか、というと、なかなかそうもいきません。

得意分野

この問題を解消する切り札の一つが「得意分野」です。基本的に会話は何らかのテーマ(話題)を持っています。そしてそのテーマを語り合う中で使用される語彙は、比較的限られたものとなる傾向があります。

例えば「野球」がテーマとなる場合、頻繁に使用される語彙は野球用語と、それと組み合わせて使用される動詞となります。

数が限られてくるので覚えるのも楽です。また、使用頻度も高いので、短期間でこれらの語彙を身につけることができます。

趣味を利用

得意分野の作り方は簡単です。自分の趣味を利用すればいいのですから。趣味に関する分野について中国語でリーディングすればいいだけです。

この方法の利点は、まず好きなことなので勉強が苦にならないことです。苦にならないので長時間続けることができますし、ストレスも小さくなります。

そうすると吸収速度が飛躍的に高くなるので、短期間で理解度も深まり、勉強がいっそう楽しくなります。そうしているうちに中国語の基礎力も高まってくるので、別の分野について勉強する場合でも、比較的容易に理解することができるようになります。

ある程度勉強したら、今度は同じ趣味を持つ人たちと中国語でコミュニケーションをとるようにすることをおすすめします。こうすることで中国語会話力を飛躍的に高めることができます。

昨今はインターネットが発達してきているので、共通の趣味を持つ人たちのコミュニティがインターネット上で形成されるようになっています。

検索エンジン等を使用すればいくつも見つかると思いますので、一度挑戦してみてください。

中級者の迷い

会話の練習を重ねるにつれて会話力は伸びてきます。

しかしながら、日常会話レベルをクリアした後どこへ向かって進めばわからなくなるのが会話学習でもあります。

そんなちょっと上を行く学習者のために初級後の会話学習について考えてみたいと思います。

専門化

実社会では、仕事などで中国語を使用しているほとんどの人が特定の分野について中国語を使用しています。

それが通訳や翻訳のような語学専門職に従事している人であっても同様です。通訳や翻訳家も、それぞれ専門分野を持っています。(※注:本来はこうあるべきなのですが、中国語の場合はそうはいっていられないようです。詳しくは『中国語通訳と翻訳 ... 花形職業の現実』を参照してください。)

日本人として中国語を学ぶ者にとっては、基本的に「日常レベル(基礎レベル)+専門分野に関する知識」があれば十分で、すべての分野において高い能力を持つ必要はありません。というより不可能です。

将来の構想に合わせて専門分野に関する中国語を重点的に学ぶことが、初級後の中国語会話学習の要点になると考えています。そしてその専門分野から関連性のある周囲の分野に対象を広げていくことで、より実用的な中国語会話能力を身につけることができるようになるのです。

日本を知る

私たちは日本人です。中国人と会話するとよく日本のことを聞かれます。

現代の、身近なことなら問題はないのですが、あまり身近ではないのになぜか中国では日本文化を代表するものとして妙に有名だったりするものあったりします。

例えば、中国でも『雪国』や『伊豆の踊り子』は有名です。私たちが中国と聞いて『三国志』や『水滸伝』を思い浮かべるのと同じ原理です。実際のところ『三国志』や『水滸伝』を読んだことがない中国人も大勢いるのですが、私たち日本人は中国人なら『三国志』や『水滸伝』は詳しいだろう、と思ってしまいます。

これと同じ原理で、中国人は日本人なら『雪国』や『伊豆の踊り子』に詳しいだろう、と思い込んでいる人もいます。まあ知らないのなら「不知道」と答えればいいのですが、やはりこれはカッコ悪いです。

特に相手側がある程度以上の文化レベルを備えている場合、如何にこちらが中国語をペラペラと話したとしても、自国の文化はまったく知らなければ軽蔑されるだけです。

好き嫌いにかかわらず日本人である現実を変えることはできない以上、中国人との交流において日本に関する知識は必要最低限備えておいた方が無難だと思います。

ここでは日本に関することを中国語で説明できるように設計された書籍の中でおすすめできるものをご紹介しておきます。

『中国語で紹介する日本 文化編』

CD付ということもあり、リスニングや会話学習にも直接教材として使用できる優れものです。初級後期になったらこれを一冊やっておいた方がいいと思います。

『日本 姿与心 日中対照 (第7版準拠)』

こちらはCDなしですが、より深く掘り下げたいのなら必読の一書です。対訳付なのでリーディング学習の一環として使用してもいいでしょう。

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Time:
2005-12-12 Last modified: 2018-08-17