リピーティングについてはリスニング学習法の項でも取り上げたので既にご存知のこととは思いますが、重複を恐れず申し上げますと、リピーティングとは一定の長さの文章を聞き、それを口頭で再現する学習方法です。
音読との相違点は音読は文章を読み上げるのに対して、リピーティングは聞き取った中国語を頭の中に貯めておき、それを再現することにあります。
このため、リピーティングでは発音を正確にとらえなければ音の再現ができないという特徴があります。
音読の場合は発音が多少曖昧でも問題ありませんが、リピーティングでは聞き取れたものしか再現できないので、どの部分が聞き取れていないのかすぐに分かります。
リピーティングはこのような特徴を持つため、一般にリスニング学習に利用されています。
会話訓練としてのリピーティング
一方、会話訓練としてのリピーティングでは、聞き取った中国語をそのまま再現する必要はありません。文章の内容が分かるように再現するだけで十分です。
リスニングの訓練ではないので、一字一句丁寧に聴き取っていく必要はありません。重点は要点を聴き取り、「内容」を正確に再現するところにあります。
ここからも分かるように、会話訓練としてのリピーティング学習法においては、リピーティングは発話のきっかけに過ぎません。自分で考えて話す機会を作ることに意義があるのです。
練習方法は極めて単純です。まずスクリプトのある音声を用意してください。内容は自分のレベルから見てやや簡単なものを選ぶのが効果的です。
音声を一文ずつ聞き、口頭で再現していきます。この時まったく同じ文章を再現する必要はありません。同じ意味の単語だったら別のものに置き換えても構いません。内容及び文法に問題がないことに意識を向けるようにしてください。
リピーティング学習書
残念なのはリピーティングが比較的マイナーな学習法で、リピーティングを主題にした学習書が出版されていないことです。
変わったところでは
『CD付き 中国語の文法ポイント整理―1日約30分・28日間でマスター』 本間 史 (著)
という学習書が文法項目の記憶定着手段としてリピーティングを採用しています。
この学習書で文法学習ついでにリピーティングをしてみてもいいかもしれません。