翻訳会話法とはまず日本語で話す内容を考え、それを文法に当てはめて外国語に翻訳し発声する会話法です。
一部に肯定する意見もありますが、一般に達人と呼ばれる人の大方はこの方法を否定しています。
翻訳会話法の問題点
翻訳法の最大の問題点は会話の速度が遅くなることです。頭の中で日本語から中国語へと翻訳する過程が余分に加わりますので、直接中国語で全過程を処理するのと比べ速度的に明らかに劣ります。
これが作文だったらまだいいのですが、会話の場合会話相手がいます。会話相手も人間ですので、1文につき30秒も1分も待たされてはたまったものではありません。
また、文法に基づいて日本語から訳した中国語は、中国語としては不自然な表現である場合が多いという問題もあります。
言葉は文化を表します。よって、文化背景が異なると物事の表現方法も変わります。
例えば「对不起」です。日本語で「すみません」と訳されるこの言葉は、中国では往々にして重みのある言葉となるので、一般には日本人のように多用しません。安易に使用すると責任を認めたことになり、場合によっては賠償事に発展してしまうからです。
中国語脳を作る
このような問題が存在する以上、より高い中国語会話力を身につけるには翻訳会話法に拠らない、中国語を中国語のまま処理する能力を身につける必要があります。
中国語のまま処理する能力を身につける訓練の方法については「中国語脳」で詳述しておりますので、別途ご確認ください。
翻訳会話法の利点
より高レベルの会話力を身につけるためには何かと問題が多い翻訳会話法ですが、利点がないわけでもありません。翻訳会話法は常に日本語と紐付けされているため「忘れにくい」のです。
「忘れにくい」というと誤解されてしまいそうなのでもう少し説明を加えます。日常の中で中国語の会話を使う頻度が低い場合、意識的に訓練しない限り中国語の会話力は低下していきます。
中国に留学していた頃は中国語を話せたのに、帰国後使用する機会がなくなり、中国語が出てこなくなってしまった、という留学生が多いのはこのためです。
使わないと退化するのは中国語脳であってもその他の器官でも変わらないということです。
これが翻訳会話法の場合だと中国語と日本語が紐付けされているので、中国語会話力の低下速度は中国語脳のような日本語と独立した思考回路による場合と比べてずっと遅くなります。
このため、中国語会話の必要性が低いと初めから分かっている場合は翻訳会話法を選択するというのも一つの手です。高度の中国語会話力が要求されない場合は翻訳会話でも十分対応できるからです。