中国語では連体修飾語を“定语”と呼び,日本語でもそれに倣って「定語」と呼ぶことがある。両者は厳密にはイコールではないが,便宜的に“定语”=「連体修飾語」と理解しても支障はない。
定語は主語や目的語の前に置き,これらを修飾する。
目次
定語の位置
連体修飾語は修飾される名詞の前に置く。構造助詞“的”を伴うことがある。
用例 | 和訳 |
---|---|
| 日本人 |
| わたしの本 |
定語になる語とフレーズ
定語になる語やフレーズは幅広く,名詞・動詞・形容詞などのさまざまな語や,各種フレーズが定語になる。
品詞/フレーズ | 用例 | 和訳 |
---|---|---|
名詞 |
| 日本の首都 |
動詞 |
| 発表した情報 |
形容詞 |
| きれいな服 |
代詞 |
| わたしの母 |
数詞 |
| 10の3分の1 |
数量詞 |
| 1つのリンゴ |
フレーズ |
| お母さんがくれたお小遣い |
構造助詞“的”
連体修飾を示す構造助詞の“的”が必要になる場合、必要にならない場合、あってもなくても良い場合の3パターンに分けられるが,例外も存在するので,以下の分類はあくまでおおよその規則となる。
“的”を必要としない場合
以下の場合は,通常“的”を必要としない。
名詞
被修飾語の属性・性質を表す修飾語の場合,被修飾語となる名詞との結びつきが強く,“的”を用いない。
用例 | 和訳 |
---|---|
| プラスチック容器 |
以下のような場合では,“的”の有無で意味が異なってくる。“的”がつくと,修飾語と被修飾語は所有関係を表すことになる。
用例 | 和訳 |
---|---|
| 中国人である友人 |
| 中国にとっての友人 |
| 急所 |
| 牛の鼻 |
修飾語の名詞と被修飾語の名詞が熟語化している場合。
用例 | 和訳 |
---|---|
| 英語の授業 |
| 中国語テキスト |
| 音楽大学 |
| 環境保護問題 |
形容詞
単音節形容詞の場合。
用例 | 和訳 |
---|---|
| 赤いリンゴ |
2音節形容詞と被修飾語の名詞が熟語化している場合。
用例 | 和訳 |
---|---|
| 利口者 |
代詞
親族・人間関係・所属先を表す場合。ただし,“的”が使われることもある。
用例 | 和訳 |
---|---|
| うちの母 |
| あなたのお父さん |
| わたしの友達 |
| 彼の家 |
“家”を除き,学校など所属先を表す名詞を修飾する人称代詞は本来複数形に限るが,実際には単数形で修飾している例も広く見受けられる。
用例 | 和訳 |
---|---|
| 我が社 |
| わたしの職場 |
用例 | 和訳 |
---|---|
| どんな本 |
| いくら |
数量詞
数量詞(数量フレーズ)の場合。
用例 | 和訳 |
---|---|
| 一冊の本 |
“的”を必要とする場合
以下の場合は,通常“的”を必要とする。
名詞
上述の性質を表す場合と熟語化している場合を除く。
用例 | 和訳 |
---|---|
| 東京の学校 |
動詞
動詞が定語の場合。
用例 | 和訳 |
---|---|
| 受け入れの条件 |
形容詞
2音節形容詞が単音節名詞を修飾する場合。
用例 | 和訳 |
---|---|
| おいしい料理 |
重ね型の場合。
用例 | 和訳 |
---|---|
| 長いしっぽ |
| 澄み切った空 |
“多”と“少”
形容詞の“多”と“少”が定語になる場合,“很”や“不”を添えて形容詞性修飾フレーズにしなければならない。形容詞性修飾フレーズが定語になる場合,普通“的”が必要になるが,“多”と“少”については“的”を用いないことが多いというように,他の形容詞とは異なるルールが適用される。
用例 | 和訳 |
---|---|
| おおぜいの人 |
| 少なからぬ人 |
代詞
上述の親族・人間関係・所属先を表す場合及び疑問代詞“什么”“多少”が定語になる場合を除く。
用例 | 和訳 |
---|---|
| わたしの本 |
数詞
数詞が定語の場合。
用例 | 和訳 |
---|---|
| 4の倍 |
フレーズ
フレーズが定語の場合。
フレーズ | 用例 | 和訳 |
---|---|---|
主述フレーズ |
| わたしの書いた手紙 |
修飾フレーズ |
| とても安いもの |
補充フレーズ |
| やり切れない(量の)宿題 |
動目フレーズ |
| サッカーをしている子ども |
等位フレーズ |
| おじいさんとおばあさんの家 |
介詞フレーズ |
| 日中関係に関する問題 |
数量フレーズ |
| 2個のタマゴ |
方位フレーズ |
| 財布の中のお金 |
固定フレーズ |
| 選り抜きの女性 |
“的”があってもなくてもどちらでもよい場合
以下のような場合は“的”を使っても良いし,使わなくても構わない。
代詞
2音節代詞が組織・集団を表す単音節名詞を修飾する場合。
用例 | 和訳 |
---|---|
| わたしたちのクラス |
定語の順序
複数の定語が並列する場合,その順序はおおよそ以下のようになる。グループ内の要素はよく前後する。また,ふつう同グループ内では“的”を伴うものは“的”を伴わないものに先行する。
第1グループ | 第2グループ | 第3グループ | 第4グループ | 第5グループ |
---|---|---|---|---|
場所・所属 | 指示代詞 | 数量 | 性質・形状・種属 | 材質 |
ただし,定語の順序については厳格なルールは存在するわけではないので,実際にはこの限りではないことも多い。以下に例を挙げる。
場所 | 所属 | 指示代詞 | 数量 | 性質 | 種属 | 材質 | 被修飾語 | 和訳 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
桌子上 | 我 | 那 | 两个 | 白色的 | 装药的 | 塑料 | 瓶子 | 机の上の私のあの2つの白い薬を入れるプラスチックの容器 |