受身文

介詞“被”“叫”“让”などを用いることで，「（人）に～された」という受身の表現を表すことができる。

基本形

「Ａ（受け手）＋介詞＋Ｂ（行為者）＋動詞句」の語順を取る。

Ａ介詞Ｂ動詞フレーズ和訳
我被他打了。わたしは彼に殴られた。
他叫爸爸骂了。彼はお父さんに叱られた。
我的书让他拿走了。わたしの本は彼に持って行かれた。
我的衣服给他弄脏了。わたしの服は彼に汚された。

被

“被”を用いる受身文はもっとも典型的な受動表現で，やや文章語的色彩が強い。※中検4/3級レベル

我被爸爸打了。
わたしは父に殴られた。
Wǒ bèi bàba dǎ le.
他又被经理批评了。
彼はまた部長に叱られた。
Tā yòu bèi jīnglǐ pī píng le.
自行车又被小偷偷了。
自転車はまた泥棒に盗まれた。
Zìxíngchē yòu bèi xiǎotōu tōu le.
电脑又被儿子弄坏了。
パソコンはまた息子に壊されてしまった。
Diàn nǎo yòu bèi érzi nònghuài le.
那本书被他借走了。
あの本は彼に借りて行かれた。
Nà běn shū bèi tā jiè zǒu le.
我的自行车被哥哥骑走了。
兄にわたしの自転車を乗って行かれてしまった。
Wǒ de zìxíngchē bèi gēge qí zǒu le.
你的车被谁开走了？
誰に車を乗っていかれたんですか。
Nǐ de chē bèi shéi kāi zǒu le.
我被雨淋湿了。
わたしは雨に濡れてしまった。
Wǒ bèi yǔ lín shī le.

“被”はもともと「（好ましくないこと，不運なことに）遭遇する」という意味であり，主語にとって望ましくないことを述べる場合にのみ使われてきたが，現在の中国語では，単純な受身文を表す場合にも用いる。

我被公司评为优秀职工了。
私は勤め先で優秀社員として選出された。
Wǒ bèi gōngsī píng wéi yōuxiù zhígōng le.
我的建议被公司采纳了。
わたしの提案は会社に採用された。
Wǒ de jiànyì bèi gōngsī cǎinà le.

行為者の省略

行為者が不特定多数であったりはっきりしない場合，または明示する必要のない場合，“被”の後に置かれる行為者（Ｂ）を省略することができる。※中検4級レベル

我的钱包被偷走了。
わたしの財布が盗まれてしまった。
Wǒ de qiánbāo bèi tōu zǒu le.
他被录取了。
彼は採用された。
Tā bèi lùqǔ le.

让／叫

口語では“被”より“让”や“叫”が多用される傾向がある。用法は“被”と同じだが，行為者を省略させることはできない。※中検3級レベル

我的眼镜让弟弟弄坏了。
わたしのメガネは弟に壊されてしまった。
Wǒ de yǎnjìng ràng dìdi nònghuài le.
我不想让人知道这件事。
わたしはこの事を人に知られたくない。
Wǒ bù xiǎng ràng rén zhīdào zhè jiàn shì.
我的书包让人偷走了。
わたしのカバンは誰かに盗まれてしまった。
Wǒ de shūbāo ràng rén tōu zǒu le.
我叫我爸骂了一顿。
私は父にさんざん叱られた。
Wǒ jiào wǒ bà mà le yī dùn.

なお，“让”と“叫”は使役表現においても使用される。使役表現は受身表現と語順を同じくするため，両者の判別は前後の文脈等から行う他なく，非常に混同しやすいので要注意である。

给

“给”も受身を表す介詞の用法を持つ。これは方言から来たものとされる。

我的衣服给大雨湿透了。
私の服は大雨によってびちょびちょになった。
Wǒ de yīfu gěi dàyǔ shītòu le.

于

“于”は動作・行為の主体を導くことがあり，受身の意味を作る。多くの場合・動詞（フレーズ）・形容詞の後に用いられる。書き言葉に用いられることが多い。

我队败于美国队。
わがチームはアメリカに敗れた。
Wǒ duì bài yú Měiguó duì.

受身の意味を持つ動詞

“挨”“遭”“受”などの少数の動詞は受身の意味をもち，上述の受身を表す介詞を用いずとも受身の意味を表すことができる。

我又挨我爸骂了。
私はまた父に叱られた。
Wǒ yòu āi wǒ bà mà le.
昨天回家的路上我遭了一场大雨。
昨日帰宅の途上で大雨に遭った。
Zuótiān huíjiā de lùshàng wǒ zāo le yī chǎng dàyǔ.
他受了惊吓睡不着了。
彼は何らかおびえて眠れなくなった。
Tā shòu le jīngxià shuì bù zháo le.