介詞とは,名詞(句)や代詞を目的語として伴うことで介詞句を構成し,場所・方向・時間・対象・目的などの意味を表す虚詞(文法的機能語)である。例えるなら英語の「前置詞」,日本語の「助詞」に相当すると考えてもよい。
基本語順
介詞は虚詞であるため,単独では文成分にならず,必ず目的語を伴い介詞句を構成する。介詞句は連用修飾語となり,「[介詞+(介詞の)目的語]+被修飾語」の形で動詞句を修飾するのが最も一般的な用法である。※中検4/3/2級レベル
介詞 | (介詞の)目的語 | 被修飾語 | 和訳 |
在 | 家 | 吃午饭 | 家で昼食をとる。 |
- [用例]
-
- 从图书馆借了两本书。
- cóng túshūguǎn jiè le liǎng běn shū.
- 図書館から本を2冊借りた。
否定形
否定形を作る場合は介詞句の前に否定副詞を置く。
否定副詞 | 介詞 | (介詞の)目的語 | 被修飾語 | 和訳 |
不 | 在 | 家 | 吃饭 | 家で食事をしない。 |
副詞の位置
副詞を付ける場合は,介詞句の前に置く。
副詞 | 介詞 | (介詞の)目的語 | 被修飾語 | 和訳 |
快 | 给 | 他 | 打电话 | はやく彼に電話しろ。 |
連体修飾語
連体修飾語を構成する。助詞“的”を伴う。
補語用法
“于,向,自,往”などの一部の介詞は補語として用いることもできる。
動詞との関係
現代中国語における介詞の大部分は,本来動詞であったものが語彙的意味を失い(あるいは弱め),文法的な働きをするようになったものである。このため,動詞にも介詞にもなる語も少なくない。
また,次のような文の場合,“用筷子”は介詞句として修飾語となっていると考えることも,動詞句で後の動詞句と連動文になっていると考えることもできる。
介詞句/動詞句1 | 被修飾語/動詞句2 | 和訳 |
用筷子 | 吃饭 | 箸でご飯を食べる。 |
- [用例]
-
- 这是我写的,你能帮我看看嘛?
- zhè shì wǒ xiě de, nǐ néng bāng wǒ kàn kàn ma.
- これはわたしが書いたんですが,ちょっと見てもらえませんか。
接続詞との関係
“跟”“和”“同”“与”は介詞にも接続詞にもなる。
介詞の場合 | 我跟他玩去了。 | 私は彼と遊びに行った。 |
接続詞の場合 | 你跟他都是我的朋友。 | 君も彼も僕の友達だ。 |
介詞一覧
主な介詞には次のようなものがある。
空間的・時間的距離
离
※中検4級レベル
- [用例]
-
- 公司离车站不远。
- gōngsī lí chēzhàn bù yuǎn.
- 会社は駅から遠くない。
-
- 我家离地铁站不太远。
- wǒ jiā lí dìtiě zhàn bù tài yuǎn.
- わたしの家は地下鉄の駅からあまり遠くない。
-
動作・行為の対象
介詞 | 日本語 |
把,将,拿,管 | …を |
对,对于 | …にたいして,とって |
关于,至于 | …に関しては,については |
对
※中検4/3/2級レベル
- [用例]
-
- 老板娘对客人总是那么热情。
- lǎobǎn niáng duì kèren zǒngshì nàme rèqíng.
- おかみさんは客に対していつも親切である。
-
- 抽烟对身体不好。
- chōuyān duì shēntǐ bù hǎo.
- タバコは体に悪い。
-
- 她对日本的电视剧感兴趣。
- tā duì rìběn de diànshìjù gǎn xìngqù.
- 彼女は日本のテレビドラマに興味がある。
-
- 父亲的话使我对学习汉语产生了兴趣。
- fùqin dehuà shǐ wǒ duì xuéxí hànyǔ chǎnshēng le xìngqù.
- 父の話でわたしは中国語学習に対して興味をもった。
動作の範囲
介詞 | 日本語 |
就 | …について |
连 | …ごと,すら,さえ |
除,除了 | …のほかに,を除いて |
準拠
介詞 | 日本語 |
依(着),依照,按(着),按照,照(着),本着 | …どおりに |
よりどころ・方式
介詞 | 日本語 |
以,凭,论,据,根据 | …で,によって,にもとづいて |
目的
为了
※中検4級レベル
- [用例]
-
- 为了去中国留学,我每天都练习口语。
- wèile qù zhōngguó liúxué, wǒ měitiān dōu liànxí kǒuyǔ.
- 中国に留学するために,わたしは毎日会話の練習をしている。