英語学習者が目指すべき中国語レベル

本項のテーマも前項同様昨年公開分の『中国語と英語の二ヶ国語で目指すべきレベル』で言及しているのだが、この点についても英語学習者の視点から今一度考えてみたいと思う。

中国語を学ぶ目的から考える

英語学習者が目指すべき中国語レベルは、基本的には中国語を学ぶ目的で決まる。その目的を達成するのに必要になる中国語力が目指すべきレベルだ。

英中二言語で通訳を、と考えているのならば中国語も相当なレベルが要求されるが、現実にはそのような需要は少ないだろうから、多くの場合、上限は中国語単独の人に比べ低くなるものと思われる。ビジネスレベルが精々のところだろうか。

ところで、就職転職界隈でよく耳にするビジネスレベルという表現だが、明確な基準は存在しない。中国語では日本中国語検定協会がスコア式ビジネス中国語検定試験を実施していたが、現在は休止状態にある。この他では中国政府機関となる中国の「国家漢語国際推進グループ」が実施する「BCT」というビジネス中国語検定試験が存在するが、日本における知名度は高くない。

日本で最も知名度が高い中国語資格は中検だが、その認定基準によると、準1級は「実務に即従事しうる能力の保証」とされているので、このレベルならばビジネスレベルとして申し分ない。もっとも、準1級は「簡単な通訳ができる」と記述されているように、実際には相当高いレベルなので、就職転職でビジネスレベルとしてアピールするなら2級でも十分である。

在学生の就職対策としてならば、まずは3級を取得しておきたい。このレベルなら履歴書に書いても遜色はなく、中国語を勉強していることを堂々とアピールできるからだ。また、3級は初級修了レベルだが、上述の認定基準に「一般的事項のマスター」とあるように、このレベルならば実際に中国語が必要になったとしても、そこそこ対応できるのだ。加えて「自力で応用力を養いうる能力の保証」とあるように、業務上必要になる中国語を身につけるのに時間はかからないだろう。

コストパフォーマンスが高い中検3級

「英語がどのレベルに達したら中国語を始めるのか」でTOEICスコア900のコストパフォーマンスについて言及したが、中検3級についても同様のことが言える。中国語は実用レベルにおける文法が比較的単純なので、初級で学ぶ文法事項も比較的少ない。このため、中国語の初級は比較的短期間で修了することができるのだ。

では、中国語の習得にかかる絶対的時間はその他の言語に比べ短くなるのかというと、それは必ずしもそういう訳ではないのだ。初級が短い分、中級が長くなる。これが中国語で「さまよえる中級」と呼ばれる、万年中級者を生む主因の一つである。

この特徴は、中検にもそのまま反映される。3級までと2級以降では、試験問題の出題形式から異なってくるのだ。3級までは型にはまった問題が多いのでパターン分析が効果的だが、2級以降は出題範囲が広くなるので、パターン分析の効果が低くなる。これは2級ではより実力が要求されることを意味する。3級まではテクニックが効くのだが、2級はテクニックの効果が低くなるのだ。

逆に言えば、中検3級はそれだけお得なのである。筆者が3級を推すのはこのためである。

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