二ヶ国語と時間とカネと

二ヶ国語習得の実行性を考える際、スタート時点の英語力に並んで重要になるのが手持ちの時間とカネである。時間とカネについては外国語習得法に関する古典的な名著である千野氏の『外国語上達法』でも言及されているので、真剣に学習法を探求している人にとっては常識かもしれないが、一般的にはあまり意識されていないようなので、ここで簡単にまとめておきたいと思う。

語学は時間がかかるもの

そもそも語学は時間がかかるものだ。英語教材の広告文句に数ヶ月、中には一ヶ月未満で習得できてしまうことを謳うものが少なからずあるので誤解される向きもあるが、それは明らかに不可能である。それらの教材も、現実には先に述べたような既存の英語力を利用した錯覚でしかないのだ。

現実には、外国語の習得には相当の時間を要することを覚悟しなければならない。これは本人のやる気云々の話ではなく、客観的に言って一定以上の時間が必要になるのだ。語学に割く時間がないのに二ヶ国語などとブチ上げても、挫折して終わるのは目に見えている。

学生ならば時間の確保は比較的容易だが、社会人はかなり難しい。毎日定時で終わるような職についているのならば比較的計算しやすいが、残業が多いような仕事ならば、二ヶ国語はおろか一つ身に付けるのも容易ではない。

カネをケチらないこと

語学には時間のみならず、カネもかかる。確かにインターネットの普及により低価格化が進んでいるが、それでも多少なりとも資金が必要になる。

インターネットには無料コンテンツも豊富に存在するが、低額でもいいから資金を投入する方が学習効果が高まる。一般的に有料コンテンツのほうが質が高いのは言うまでもないと思うが、資金を投入することを勧めるのはそれだけではない。人というのはケチなもので、多少なりとも自腹を切ったほうが真剣になるのだ。故に、何から何までタダで済まそうとするのではなく、これは、というサービスを見つけたら、思い切って購入した方が費用対効果は高くなる。時間を買うつもりで払えばよいのだ。タダより高いものはないとは、まさにこのことだろう。

また、留学を考えているのならばかなりの資金が必要になる。比較的自由に留学できるのは学生のうちだが、一方で学生は資金力に乏しい。奨学金も存在するが、その枠は小さなものだ。ハナから奨学金を当てにするのは止めたほうが無難だろう。

もちろん、奨学金や交換留学などの枠を得ることができるのならばそれに越したことはない。それが成績優秀者向けのものならば、学習に打ち込む動機にもなる。事前によく調べておくと良いだろう。

始めから留学するつもりで、その資金は自分で用立てる他当てがない場合、その資金を貯めるのに必要な時間も次善に計算に入れておく必要がある。中途半端に学習を始めてからバイトに打ち込むよりも、始める前にバイトに打ち込み、必要な資金を作ってから学習を始めるというのも一つの手だ。

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