人物と背景
- 黑砖头
- 严家庄村民。本名は严守礼。严守一の実兄。黑砖头(黒レンガ)は幼名。面子を重んじる。策を弄するのが好きで、謀略の天才を自認している。
- 路之信
- 严家庄村民。中年だが独身。声がとてつもなく大きい。
- 哥们儿
- 严家庄村民。黑砖头の弟分。
- シーン
- 严守一の兄・黑砖头が博打のため弟分たちを引き連れて路之信宅へ向かう。取締が厳しくなっていることを心配する弟分たちに、有名人である弟のことをひけらかして安心させる。自宅を賭博場を提供している路之信は取締が厳しくなっていることを理由に場の提供を拒絶するが、路之信が利用料に不満をいだいていることを見抜いた黑砖头が値上げして無理矢理納得させる。そして黑砖头は路之信に警察対策のための演習をさせる。
会話文
- 哥们儿A
- 砖头哥[1],听说最近风声比较紧呢[2]。要不,咱歇一晚上?
- 黑砖头
- 风声紧那得看谁[3]。知道我是谁吗?
- 哥们儿A
- 砖头哥啊。
- 黑砖头
- 什么砖头哥,那是名称。我什么身份?
- 哥们儿A
- 砖头哥,没有听说你担任啥职务啊。
- 黑砖头
- 严守一是谁啊?我弟。我是守一他哥。当然了,我也不是靠别人的货。但守一是我弟这个事儿,我改变不了。真把咱们抓进去啊,就他一句话的事儿。
- 哥们儿A
- 砖头哥,有您这层关系,俺们就放心了。
- 哥们儿B
- 对对对。
- 黑砖头
- 说实话吧,派出所所长,孙安全,是守一中学同桌[4]。我就怕他不抓。真把咱们抓进去了,麻烦的不是咱们,是他孙安全。他不但得管顿酒喝,还得赔个不是。不信咱们晚上等着看。
- 哥们儿B
- 信。俺咋能不信来?俺就是不信你,俺也得信严守一啊。
- 哥们儿A
- 对对对,信严守一。
- 路之信
- 黑砖头,你到别处耍[5]去吧,我不接待[6]了。
- 黑砖头
- 啥意思啊?没让你白接待啊。不都真金白银[7]地给你了吗?
- 路之信
- 我说……[被黑砖头捂着嘴,说不出话了。]
- 黑砖头
- 你嗓门儿大,小声儿说话。
- 路之信
- 严家庄昨天晚上一锅端走了五个,太危险了。
- 黑砖头
- 危险越大越好,咱是谁呀?
- 哥们儿A
- 老路,你放心吧。派出所真抓着咱呢,也是他们的麻烦。砖头哥他弟严守一,一句话的事儿。再多半句都是多。严守一,你又不是不知道。
- 路之信
- 我比谁都知道,偷瓜的白石头[8]。
- 哥们儿B
- 砖头哥都说了,这派出所要真把咱给抓了,那他还得管顿酒呢。
- 路之信
- 那也不中。我冒的风险太大,担惊受怕的。
- 黑砖头
- 咦咦咦咦咦。真金白银,不赚了。哦,嫌少。
- 路之信
- 也太少了。熬大半夜,才给八块钱。还不够壶酒钱呢。
- 黑砖头
- 早说呀,咱爷们儿还缺钱吗?再给你加……三块。[路之信有反应,但又摆出一副不满的样子。]哎,路之信,做人要厚道[9]。
- 哥们儿A
- 中了中了。给三块可以了。[两个哥们儿强行进去。]
- 黑砖头
- 拿人钱财替人消灾[10]。门儿一定看好了啊。你别蹲门口儿了。你蹲墙头儿上吧。站得高,看得远[11]。来了人你就喊,声儿不能太大,太大了给人指路了,也不能太小,太小了我们听不见了。
- 路之信
- 那得多大呀。
- 黑砖头
- 咱比划比划不就知道了吗?去,到墙头儿上去。咱们练练兵。
[黑砖头去屋里,路之信则到墙头去。]
- 黑砖头
- 从小声往大声喊。别从大往小。咱一点点儿地来啊。第一遍,预备开始。
- 路之信
- 警察来了。
- 黑砖头
- 你蚊子哼哼呢。再大点儿声儿。
- 路之信
- 警察来了。
- 黑砖头
- 再大一点点儿。
- 路之信
- 警察来了。
- 黑砖头
- 中,中。就这么大声儿啊。保持这个音量。要坚守岗位。
ピンイン
- 哥们儿A
- 黑砖头
- 哥们儿A
- 黑砖头
- 哥们儿A
- 黑砖头
- 哥们儿A
- 哥们儿B
- 黑砖头
- 哥们儿B
- 哥们儿A
- 路之信
- 黑砖头
- 路之信
- 黑砖头
- 路之信
- 黑砖头
- 哥们儿A
- 路之信
- 哥们儿B
- 路之信
- 黑砖头
- 路之信
- 黑砖头
- 哥们儿A
- 黑砖头
- 路之信
- 黑砖头
[hēizhuāntou qù wūli, lùzhīxìn zé dào qiángtóu qù.]
- 黑砖头
- 路之信
- 黑砖头
- 路之信
- 黑砖头
- 路之信
- 黑砖头
日本語訳
- 弟分A
- 兄貴、最近取締が厳しくなってるらしいんだけど。なんなら、一日休もうか?
- 黒磚頭
- 取締が厳しくなったところでそれは人次第だ。俺を誰だと思っている?
- 弟分A
- 兄貴だよ。
- 黒磚頭
- 何が兄貴だ,それは名称だろう。俺の身分は何だ?
- 弟分A
- 兄貴、何かの職務を担当しているなんて聞いたことないけど。
- 黒磚頭
- 厳守一は何者だ?俺の弟だ。俺は守一の兄。もちろんだが、俺も他人を当てにするような輩ではないがな。ただ守一が俺の弟という現実は変えられない。俺達を逮捕したところで、一言で済むことだ。
- 弟分A
- 兄貴、兄貴のこのコネがあれば、俺達も安心です。
- 弟分B
- そうそうそう。
- 黒磚頭
- 真面目な話、派出所の所長、孫安全は守一が中学時代に机を並べた同級生なんだよ。俺はあいつが俺を逮捕しないんじゃないかって心配しているんだ。俺達を逮捕したら、面倒なのは俺達じゃなくて、あの孫安全だからさ。あいつは酒を用意するだけでなく、謝罪しなきゃいけないからな。信じないなら今晩楽しみにしていろ。
- 弟分B
- 信じるよ。誰が信じないものか。兄貴はともかく、厳守一なら大丈夫だ。
- 弟分A
- そうそうそう、厳守一なら大丈夫だ。
- 路之信
- 黒レンガ,別のところでやってくれないか、ここはダメだ。
- 黒磚頭
- なんでだ?タダで使っているわけでもなし。現金くれてやってるだろ?
- 路之信
- あのな……[黒レンガに口を塞がれ、声が出せない。]
- 黒磚頭
- お前は声がデカイんだよ、小さな声で話せ。
- 路之信
- 厳家庄で昨日の夜5人一網打尽にされたんだ、危なすぎる。
- 黒磚頭
- 危なければ危ないほどいいんだよ、俺たちは何者だ?
- 哥們儿A
- 路さん,安心して。警察が俺達を捕まえたら、面倒なことになるのはあいつらなんだから。兄貴の弟厳守一の一言で片が付くんだ。あと半言だって余計な話。厳守一はもちらん知っているだろ。
- 路之信
- よく知ってるよ,瓜泥棒の白石コロ。
- 哥們儿B
- 兄貴が言うには、警察が俺達を捕まえたら、警察が酒を用意しなきゃいけないんだって。
- 路之信
- それでもダメだ。リスクが大きすぎる、びくびくするのは嫌だ。
- 黒磚頭
- おやおやおやおやおや。カネ、いらないのかよ。ははん、少ないか。
- 路之信
- 少なすぎるだろ。夜更けまで起きて、たったの8元。酒代にもならないだろ。
- 黒磚頭
- 早く言えよ、俺たちを貧乏人かと思ってるのか?3元追加してやる。[路之信は反応したが、また不満そうな様子を見せる。]おい、路之信,人たるもの善き行いをすべきものだぞ。
- 哥們儿A
- OKOK。3元で十分だ。[弟分たちが無理やり入っていく。]
- 黒磚頭
- 金を取ってるんだからやることはやれ。出入り口をしっかり見張っていろよ。戸口に座るな。塀の上に座っていろ。高い方が見通しがいいからな。誰か来たら呼べ、でも大声で叫ぶなよ、道案内しているようなものだからな、だけど小さすぎてもダメだ、小さすぎると聞こえないからな。
- 路之信
- じゃあどのくらいだよ。
- 黒磚頭
- 手で合図すればわかるだろう。塀の上へ行け。演習するぞ。
[黒レンガは部屋へ入り、路之信は塀の上へ登る。]
- 黒磚頭
- 小さい声からはじめて声を大きくしてみろ。大から小じゃないぞ。少しずつな。一回目、よーい、始め。
- 路之信
- 警察が来たぞ。
- 黒磚頭
- 蚊が唸ってるのかよ。もう少し大きな声で。
- 路之信
- 警察が来たぞ。
- 黒磚頭
- もうちょっと大きく。
- 路之信
- 警察が来たぞ。
- 黒磚頭
- よし、よし。その大きさで。音量を保て。持ち場を離れるなよ。
解説・補足
- あだ名“黑砖头”から“砖头”を取り、“哥”を付けて「兄貴」と親しみを込めて呼んでいる。このようなパターンの呼称はよく使われる。[^]
- “风声紧”は「(もたらされる)噂が厳しいものである」の意で、ここでは賭博の取締活動が厳しくなっていることを言っている。[^]
- “那得看谁”は、警察の取締も人次第であることを意味している。[^]
- “同桌”は学生時代に机を並べて学んだ人のことを指す表現。[^]
- “耍”はここでは「賭博をする」ことを指している。[^]
- “接待”はかしこまった表現で、ここでは“接待”を用いることで、事態の深刻さを表現している。[^]
- “真金白银”はここでは現金を比喩している。[^]
- “白石头”は严守一の幼名。“偷瓜的白石头”は严守一が幼い頃、瓜を盗もうとして路之信に捕まったことに由来している。[^]
- “做人要厚道”は映画版《手机》のセリフで、当時流行語となった。簡単明瞭且つ語感が良いため、現在にいたるまで使用され続けており、一般語彙化しつつある。[^]
- 俗語。直訳すると「人から金を受け取ったからにはその人に代わって厄払いをする」の意だが、通常その「厄払い」の対象となるものは、あまりおおっぴらにできないことである場合が多い。[^]
- “站得高,看得远”は俗語ではないが、結構よく使われる。シンプル且つゴロが良く、応用も効く表現なので、使えるようにしておくと良いだろう。[^]