中上級レベルが充実している中国対外中国語教育テキスト
中国の経済的地位向上に伴い地球規模で中国語学習ブームが起きていることは、日本のマスコミでも度々伝えられています。中国に語学留学する外国人留学生の数も増加の一途をたどっており、中国における対外国人中国語教育市場も拡張を続けています。
加えて中国政府が中国語の国際普及に力を入れていることもあり、中国における中国語学習テキストは質量共に大きな飛躍を見せています。
一方の日本でもビジネス需要の増加を受け中国語テキストが続々と出版されるようになってきていますが、その大半は入門・初級レベル及びビジネス会話テキストで占められているのが現状です。
出版社も商売ですから需要が大きい入門・初級レベルにテキストが偏るのも無理はありません。いかに需要が伸びているとは言え、中国語はあくまで第二外国語、大半の学習者はゼロからのスタートとなるので、需要も入門・初級レベルに集中してしまいます。
このため、日本国内においては、中級、上級とレベルが上がるに従ってテキストの絶対量が劇的に収縮してしまうのですす。
一方の中国の対外中国語テキストは中国語を学ぶ留学生を主な対象として編纂されているので、総合テキストは基本的に入門・初級レベルから上級レベルまでシリーズとして完全にカバーするのがスタンダードとなっています。
このため、最も基本的なテキストとなる「精読」はもちろん、会話やリスニングのような、語学の基幹となる項目については入門から上級まで完全にサポートされています。
この他、需給の関係上日本では出版され得ない中国語の「古文」のようなテキストも出版されているのは日本製中国語テキストにはない強みでしょう。
欠点も
一見すると良いこと尽くめの中国対外中国語教育テキストですが、致命的な欠点もあります。
これらのテキストはあくまでも「外国人」向けに編まれたものなので、日本で出版されている中国語テキストのように「日本人」の私たちに最適化されている訳ではありません。
そもそも、解説はすべて中国語です。英語の解説がついているテキストも少なくありませんが、英語が苦手な方にとってはほとんど意味を成さないでしょう。
また、日本語と中国語は漢字を共有しているなど中国語と英語にはない特殊な関係を持っていますから、主に英語を意識して編纂されている中国対外中国語教育テキストの解説には、日本人にとっては言葉足らずであったり、また不必要であったりするものが散見されるのが現実です。
中国製テキストのご利用は慌てずに
以上の点をまとめて考えると、中国対外中国語教育テキストの利用は中級中期以降が望ましいものと思われます。
入門・初級レベルでは、発音や文法など、知的理解が要求されるものが重点学習項目となっています。このため、日本人向けに最適化され、日本語で理解することができる日本製中国語テキストの方が、より高い学習効果を期待できるからです。
一方で中国語の基礎が完成している中級中後期では発音文法はすでに重要項目ではなくなっていますし、またと中国語の読解能力も中国語の解説を十分に読みこなせるレベルに達していますから、中国対外中国語教育テキストを十分に活用することができるでしょう。
中国対外中国語教育テキストについては次のページでも解説しています。合わせてご参照いただければと思います。