電子辞書として定評のあるカシオのエクスワードシリーズに新ラインアップが登場しました。中国語コンテンツが充実した中国語仕様バージョンも新機種CASIO Ex-word (エクスワード) 電子辞書 XD-GP7350【上位機種】(Amazon.co.jp)、CASIO Ex-word (エクスワード) 電子辞書 XD-SP7300(Amazon.co.jp)が登場、中国語電子辞書市場に新たな風が巻き起こっています。
辞書選びば語学の基本中の基本。学習効率に大きな影響を与える重要な要素ですから看過できません。
というわけで、本項では特別企画としてこれまで「中国語達人への道」で強く推薦してきたキャノンのワードタンク90シリーズV90、G90とカシオのエクスワードXD-SW7300、XD-GW7350を比較してみたいと思います。
手書き入力機能を搭載
そもそも私がキャノンのワードタンク90シリーズを強く推奨してきた最大の理由は、ワードタンク90シリーズが「手書き入力」機能を備えていたところによります。
中国語は同音の漢字が多く、ピンインから辞書を引くのは結構手間がかかります。またピンインがわからない場合は部首画数から単語を引くことになるのですが、これがまた面倒なんです。
それが手書き入力だと一発。紙媒体辞書世代の私にとってはうらやましい限りです。これなくして電子辞書を購入する意味はない、思うぐらいです。
そしてカシオのエクスワードシリーズ。ついに手書き入力機能を搭載してくれました。「手書き入力」機能が中国語電子辞書のスタンダードとなる日も近いようです。
音声機能
双方とも手書き入力可能ですからここまでは互角。次に見るべきところは音声機能です。
発音が重要な中国語としては、中でも発音習得が重要な任務である入門~初級レベルの学習者にとっては音声機能は外せません。この点においては双方とも標準搭載なのですが、ワードタンク90シリーズの場合、上位機種のG90は上級者・専門家向け、ということで発音機能が端折られています。
まぁ上級者・専門家にとっては発音機能は必要ないので、発音機能がついてなくても構わないことは構わないのですが、初級者が「末永く使いたい」とコンテンツの豊富な上位機種を購入する場合は大きな障害となる項目です。
早い話、メーカーとしては「あなたが上級に達するころにはもっと新しい機種が出てますので、買いなおしてください。」とでも言いたいところなのでしょうか。
エクスワードシリーズについては上位機種はただ単にコンテンツが追加されているだけで、発音機能はそのまま残っていますので、このような心配は必要ありません。
そんな訳で、この項目については購入者の状況にもよりますが、エクスワードに軍配を上げてもよいのではないでしょうか。
ただ、無視できないのがワードタンクV90についている発音学習機能。自分の声を録音して聞くことができる機能です。
発音と言う目に見えないものを自分で客観的に判断するのは難しいもの。自分の発音を録音して聞くというのは自分の発音の良し悪しを自分で確認する数少ない手段なのです。
それが電子辞書で実現されているのがワードタンクV90の特筆すべきところです。エクスワードにはないこの機能を考慮に入れると、標準機種について言えばワードタンクV90に軍配が上がるのかもしれません。
まぁ自分の声は別途MP3等で録音してもいいんですけどね。
液晶は……
中国語電子辞書を語る上で重要になるポイントについて両者を比較してみましたが、これら項目から比較するとワードタンク90シリーズに軍配が上がるのは間違いないと思います。
ただし、発売から一年を経たワードタンク90シリーズ。使用者からいろいろな欠点も指摘されています。その中で不満が集中しているのが液晶が見づらいという問題。バックライトついていないので、液晶画面がかなり暗いのです。
コンテンツがこれだけ充実しているのになんでこんなところで躓くんだ、と言いたいところですが、こればかりは今更何とすることもできません。
総括
エクスワードの新機種で致命的なのは『現代漢語詞典』が収録されていないところにあります。
ただ、『現代漢語詞典』のような中中辞書は入門・初級レベルの学習者にはあってもなくても構わないものなので、液晶のことを考え合わせるのならば、これから中国語を始める方(入門)や始めて間もない方(初級)レベルの学習者に関してはエクスワードの新機種を選択するのもありかな、と思います。
一方で上級者にとっては『現代漢語詞典』は外せない存在。液晶の問題には目をつぶってでもワードタンク90シリーズの上位機種(G90)かな、と思うところです。
そんなわけでちょっと複雑になってしまいますが、今後は入門・初級者にはカシオのエクスワードの新機種XD-SP7300を、中級レベル以降の学習者にはキャノンのワードタンクG90をおすすめするということにします。
キャノンのワードタンク、カシオのエクスワードについてはそれぞれ次のページで個別に解説していますので、合わせてご参照ください。