ライティング
- ※記号の意味(重要度は数字が多いほどが重要度が増します。)
- ▽:重要度1
- △:重要度2
- ◇:重要度3
- ◎:重要度4
- ☆:重要度5
- ※同じ級の枠の中でも右に行けば行くほど中国語のレベルが高くなります。
- ※入門修了は中検準四級合格レベル、初級修了は中検三級合格レベル、中級修了レベルは中検準一級、HSK8級合格レベルが目安。
入門 | 初級 | 中級 | 上級 | |
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ライティング | ▽▽ | ▽▽▽△△△ | ◇◇◇◇◎◎◎◎ | ☆☆☆☆☆☆☆☆ |
→→→→→→→ 中国語力は右に向かって高くなる →→→→→→
語学において、往々にして最も後回しにされるのがライティングです。まずは会話、そしてリスニングに視線が集まり、その後リーディング、そして最後にライティング......一般にはこんな感じですか。
ライティングが軽視されるのは、同じアウトプット技能の会話と比べて目立たないのと、実質的な需要が会話ほど大きくないことに起因します。会話は文章に比べビジュアル性に富んでいますからね。ライティングは実質的な需要も会話ほど大きくありませんし。
事実、私たちの生活を振り返ってみても、ライティングの機会は会話と比べずっと少ないものです。もちろん職業などにもよりますが、ライティングなんかまったくする機会がない、という方は少なくないのではないでしょうか。
加えてライティングの難易度は会話より高いので、より敬遠されてしまうのかもしれません。
なお、ライティングは会話より難しい、というと、首を傾げてしまう人もいますが、この勘違いは明らかに学校英語教育の影響を受けたものでしょう。学校英語教育では長く読み書きを重視してきたので、辞書さえあれば書くことはできるけど、会話はできない、という人は少なくありませんから。
しかしながら、本来、言語というものは、会話よりライティングの方が難しいのです。事実、母語(私たちの場合は日本語)で会話ができない、という人はいませんが、作文を苦手とする人は五万といます。母語だって作文は難しいのですから、外国語だったらなおのこと、です。
文法と会話に効くライティング
このように、需要が大きくなく、且つ敷居が高いため、何かと敬遠されがちなライティングですが、学習メソッドとしては非常に有用なものであることはあまり知られていません。
実は、ライティングは、文法力と会話力の向上に大きな力を発揮します。ライティングは文字として残るため、会話に比べより正確な文法知識が要求され、些細な文法的ミスも一目瞭然となります。文法学習の一環として、広くライティング的要素が取り入れられているのはこのためです。
総合テキストなどにおいて、レッスンごとの練習問題で、文を作成させるものがあるのはこのためです。文を作らせることで、学習した文法項目の理解度を測るのです。
会話については、同じアウトプットとして、一定の相関性が認められます。(※参照:「インプット学習とアウトプット学習」)ライティングは会話と比べ文法や語法について熟慮して文を組み立てることができるので、より正確な中国語表現を身につけることができます。これは同じくアウトプットの会話にも反映され、会話における表現もより正確なものとなります。
また、ライティングで身につけた表現は会話においても定着しやすく、会話表現をより豊かなものとすることができます。特にレベルの高い複雑な表現は、ライティングを下敷きにしないとなかなか身につかないものです。
従って、より高度な会話力を身につけたい、という場合は、ライティングをしっかりと行っていく必要があります。上級会話はライティングで磨かれる、と言っても過言ではありません。
しり上がりに重要性を増すライティング
さて、表に戻りましょう。ライティングの重要性はレベルが上がるにつれて上昇していきます。ライティングはいずれのレベルにおいても非常に有用な学習方法ではありますが、敷居も高いので、初級レベルにおいては、本格的に取り入れることはなかなかできないのです。
このレベルにおいては、ライティングをするにせよたいしたことは書けませんから、無理して行う必要はありません。それよりも、徹底したインプットを行う方が、学習ストレスもずっと低くなり、より高い学習効果が期待できます。
その後、レベルの上昇に従って、徐々にライティングを取り入れていけば良いでしょう。特に中級中期以降はライティングの重要性が高まってきます。
この段階は会話訓練真っ盛りにあり、ライティング学習を会話訓練と呼応させることにより、より高い会話訓練効果を期待することができます。
上級レベルにおいては、ライティングは学習メソッドの支柱となる重要な学習項目となります。より正確でより高度な中国語アウトプット力を磨く方法は、ライティングの他にはありませんから。