中国語レベル学習項目重要度対応一覧表:リーディング編

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本項では、『中国語レベル学習項目重要度対応一覧表』における「リーディング」の項目について解説します。表の見方は『中国語レベル学習項目重要度対応一覧表』をご参照ください。

リーディング

※記号の意味(重要度は数字が多いほどが重要度が増します。)
▽:重要度1
△:重要度2
◇:重要度3
◎:重要度4
☆:重要度5
※同じ級の枠の中でも右に行けば行くほど中国語のレベルが高くなります。
※入門終了は中検準四級合格レベル、初級終了は中検三級合格レベル、中級終了レベルは中検準一級、HSK8級合格レベルが目安。
  入門 初級 中級 上級
リーディング ▽▽ ▽▽△△◇◇ ◇◇◎◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎◎◎◎

→→→→→→→ 中国語力は右に向かって高くなる →→→→→→

日本人中国語学習者にとって、最も特殊な項目なのがリーディングです。

その特殊性は、日本語と中国語が文字として多くの漢字を共有しているところに由来します。このため、日本語を母語とする日本人にとって、漢字で表記される中国語のリーディングは、その他諸外国語に比べ容易になります。

これを裏付けているのが中国政府主催の中国語能力試験「HSK」試験。HSKでは日本人のリーディングパートの成績の良さが際立ちます。HSKは日本人に限った試験ではないので、日本人の中国語リーディング力が相対的に高いことが良くわかります。

もちろん、これは私たち日本人にとっては好ましいことなのですが、裏返しとして相対的に難しいリスニングに注目が集まってしまい、リーディングが疎かにされてしまうことが多々あります。これが日本人中国語学習者の落とし穴となるのですが。

語感を磨くリーディング

なぜ落とし穴になるのか......それは、リーディングと言語力には深い関連があるからです。日本、というよりこれは世界主要各国共通の問題なのですが、国語力の低下が叫ばれて久しくなります。この原因として挙げられるのは何でしょうか。活字離れですよね。要は本を読まなくなったから、国語力が低下しているのだ、という話です。

リーディングが国語力向上に大きな効果を持つということは、語学においても同じ事が言えるのではないでしょうか。母語では無意識のうちに身につくリスニングや会話が重要な学習項目となるので、リーディングの重要性が相対的に低くなるのはやむを得ないのかもしれませんが、単なる日常会話のレベルを超える中国語を身につけたいのならば、やはりリーディングは不可欠だと思われます。

では、リーディングで身につける能力とは何でしょうか。「言語力」ではちょっと抽象的過ぎるので、ここでは敢えて簡単に言ってしまいます。それは「語感」です。

「語感」とは文字通り言葉に対する感覚、感性です。言葉の細かい用法や意味の違いなどを区別する感覚を指します。意味は通じるけど、表現がちょっとどこかおかしい、というのは、語感に起因するものです。

この感覚は、その言語に大量に接することでしか養うことができません。文法のように規範化するには余りにも細かすぎるので、理論的に学習することができないのです。

言葉に接することはリスニングでもできますが、その効率はリーディングには遥かに及びません。リスニングは音として流れ、消えていくので、用法に多少の瑕疵があってもさほど気になりませんが、リーディングは文字として止まるので、わずかな瑕疵であっても目に付きやすいためです。

リーディングの種類

ここまでリーディングリーディングと繰り返してきましたが、一言にリーディングと言っても、その形態は一つではありません。

この点については同じくインプット学習に分類されるリスニングと同様に、丁寧に読んでいく「精読」と大雑把に読んでいく「多読」に大別できます。

このうち「精読」は、いわゆる国語や英語の授業で学ぶような学習方法のことを言います。新出単語、文法を辞書や参考書などで確認し、一文一文、一語一語丁寧に読み進めていく読み方です。

一方の多読は、小説や新聞を読むように、文章を読み流していく学習方法です。知らない単語があっても辞書などは引かずに、前後の文脈などからその意味を推測して内容を読み取っていきます。

一般に、精読は初級レベルで行う学習方法となります。このレベルでは基礎力をつけることが最優先なので、辞書を片手に丁寧に読み込んでいく必要があります。

この精読とテキスト文のリスニングが初級レベルの学習メソッドの核心となります。一般に初級者向けに編纂される総合学習テキストが、この形態を採用しているのはこのためです。

このため、精読は特に意識しなくても、自然と行うことになります。多くのテキストが精読の形態を取っているためです。

一方、中級以降は多読が中心となっていきます。このレベルでは基礎は完成しているので、少しでも多くの文章に接して、文法として規範化されていない語感を身につけていく必要があるからです。

多読は小説や新聞を読むような学習方法なので、学習者が意識しないと実践することができません。テキストがあるとしても、それは精読から多読へ移行するための橋渡しを目的としたテキストで、量自体多くありません。

一般に言われるところのリーディング学習は、この多読を指して言います。『中国語レベル学習項目重要度対応一覧表』で表記しているリーディングの項目も、多読を中心とした学習について評価したものです。

表に示されているように、(多読)リーディングの重要性は中級から上級まで、一貫して高い重要度を保持します。これは、中上級レベルにおける語感の重要性を表しているのです。