中国語インターネット学習の理想形

前項「パソコン・インターネット学習と独学力」で、パソコンベースとした学習の鍵となる未加工の生コンテンツの利用について触れましたが、本項ではこの点についてもう一歩すすめて考えてみたいと思います。

インターネットを利用した学習のポイント

インターネット上にはテキストとして未加工状態にあるリーディングコンテンツとリスニングコンテンツが、実質的に無限に存在しているので、これらを上手に利用すれば、中級以降の電子テキストの問題は即解消されます。

解消されるどころか、膨大な量のテキストが手に入るので、どこから手をつければよいのか、逆に迷いが生じてしまうかもしれません。何せ無限にあるのですから。

インターネットを利用した学習のポイントはここです。中級というレベルがターニングポイントになるのです。

初級と中級では、そのレベルに即した効果的な学習方法論に大きな差異が存在します。これは書籍テキスト電子テキストを問いません。

初級ではテキストを丁寧に細かく学習していく必要があります。いわゆる質的学習をメインにして学習プランを構築するわけです。

一方、中級では量的な学習が中心となります。細かい部分にはこだわらず、なるべく多くの中国語に接することが宗旨となります。

この点について詳しくは「中国語学習法」の『中国語学習の「質」と「量」』を参照していただくとして、この点から考えて、膨大なテキストが手に入るインターネットが、中級以降の学習において大きな力を発揮することは言うまでもないでしょう。

インターネット学習の理想形

インターネット学習を進める上で重要なのは意識変革です。本格的にインターネットを利用して学習することになる中級レベルでは、初級レベルの勉強の仕方では効率が極めて悪くことを念頭に置いて学習を進めねばなりません。

初級レベルの学習のノリでインターネットに乗り込むと、その大量の生テキストに押しつぶされることになります。そもそも質的学習をするのならば、テキストとして加工された書籍テキストを利用する方が便利なのですから、インターネットを使うメリットは小さくなります。量的学習こそ、インターネットの潜在力を十二分に発揮する学習法です。

そして、その究極が「使用」にあります。ここで言う「使用」とは、中国語を「使う」ことを意味します。「学ぶ」のではなく、「使う」です。

私たちが日本語を使うように、中国語を使います。中国語を学ぶことを目的とするのではなく、中国語を手段として何かの目的を達するのです。

例えば、新聞を読む場合、日本語は情報収集の媒体となります。同じように、中国語を媒体として、情報を収集することを目的として中国語の新聞を読むのです。

新聞ならば自動的にリーディングの学習となります。これがニュースならばリスニングです。このように、学習自体を目的とするのではなく、手段として、たまたまその結果として学習にもなる、という形を作り上げることが、インターネットを利用した中国語学習の理想的なあり方になります。

この形を作り上げることができれば、中国語を勉強をしなくても学習していることになります。日常の生活の中に中国語を組み込んでしまっているのですから、毎日自動的に中国語を学習していることになるのです。

この環境を簡単に構築できるのがインターネットの強みであり、インターネット学習の醍醐味でもあります。

本連載では、パソコンとインターネットでこの学習環境を構築することを究極的な目標として、具体的な方法論を紹介していきたいと思います。