目標は限りなく?低く!

苦痛の原因を取り除く

学習を楽しくするための方策として、学習をつまらなくする原因を取り除くという方法があります。

これには個人差がありますから「絶対にコレ」と言う訳にはいかないのですが、敢えて一つ挙げるとするならば、「所用期間が長い」ことでしょうか。

語学は「年季」「根気」「やる気」と言うのも学習が長期間にわたるためです。それなら何とかしてこの学習期間を短縮することはできないか……ここに学習を「楽しく」する秘訣があるのではないでしょうか。

いわゆる語学教材といわれるものの多くが「三ヶ月」「半年」等々、短期間で外国語をマスターできると謳っているのはこのためでしょう。中でもその傾向が著しいのが英語教材です。これは、その他第二外国語と比べて「いやいや」「しぶしぶ」勉強する人が多いという原因もあるかとは思いますが。

英語教材に見る速習法

英語教材に短期間マスターを謳う教材が多いのはこの他にも原因があります。現実に英語は速習が可能な人が多いからです。

こう話すと不思議に思われる方もいるかもしれません。英語ってそんなに簡単なのってな感じで。もちろんそんなことはありません。英語は本来日本人にとって難易度が高い外国語なのですから。

しかしながら、英語学習には大きなアドバンテージが一つあります。大多数の英語学習者は得意苦手はともかくとして中高6年間でいやいやながらも英語を勉強してきているので、個人差はあれ一定の基礎、すなわち語彙力と文法力は誰しも持っているのです。

しかも、いわゆる学校英語と呼ばれるものはその学習カリキュラムが文法・読解・語彙に傾斜した、非常にアンバランスなものになっており、そのバランスを補うことで、言い換えれば大量のリスニングやスピーキング訓練を行うことで、英語力を短期間で飛躍的に向上させることも可能なのです。

しかし、この方法は大多数の中国語学習者には実行不可能です。中国語は英語のように学校教育のカリキュラムに組み込まれていないのですから。

では中国語は正攻法しかないのでしょうか……もちろんそんなことはありません。でなければこの連載が成り立たなくなってしまいます(笑)。

英語教材でよく見られるのが「TOEIC3ヶ月で900」といったような、TOEIC短期間攻略を謳った書籍です。念のためTOEICについてご説明しますと、TOEICとはスコア制の英語試験で、今日本で最も広く通用している英語資格試験です。

就職転職や昇進の際基準として用いられることも多く、受験者数も相当な数を数えます。それだけにTOEICビジネスも盛んです。

話を戻します。いわゆるTOEIC攻略書の中には先に述べた学校英語の遺産を利用しているだけのものもありますが、こればかりではなく別のアプローチから速習を図っているものもあります。これこそ中国語「楽習」の秘密兵器たる「限定法」です。

「限定法」とは

TOEICは英語能力を測る試験ですが、試験である以上ある一定のパターンとが存在し、そのパターンを読みきれば本来の実力以上のスコアをたたき出すことも可能です。このパターンに基づいて、出題されるものだけ学習すればよいので、学習対象も大幅に縮小され、結果として学習期間の短縮を図ることができます。

翻って中国語で考えてみます。別に中国語の試験で高スコアを記録するために中国語をやっているわけではない、という方も多いと思いますが、その点はご心配なく。何も中国語資格試験対策としてお話しているわけではありませんので。

学習対象を限定することで学習期間を短縮できるのですから、自分にとって必要ない、重要ではないと思われる部分をバッサバッサと切り捨ててしまえばいいのです。

例えば、夫がよりによって中国に転任となり、半ば拉致に近い形でいやいや中国へ行かれるご婦人様。中国語を使って仕事をするわけではありませんので、ちょっとした中国語会話が使えれば十分です。

また、ビジネスユーザでも技術指導等通訳の付く場合は高い中国語力は必要ありません。簡単な日常会話さえできるようになるだけで十分です。

簡単な日常会話だけならほとんどリスニングのみの学習でも身につけることができます。中国語は発音が肝心と言いますが、多少訛っていたところで逆に外国人らしくていいではありませんか。下手なりに一所懸命中国語を使おうとする姿は逆に相手に好感を与えるものです。

中途半端に発音が良くて、会話もそこそこできるレベルの方がかえって危険な場合もあるぐらいですから。この点については「中級者の落とし穴」で詳述していますので、別途ご覧ください。

話を戻します。中華圏のポップスやタレントのファンで、このために中国語を勉強するのでしたら一にも二にもリスニングです。会話やライティングは必要ないでしょう。ファンレターを中国語で書いたり、中国人のファンと交流したいと言うなら話は別ですが……

ミニ限定法

学習範囲を限定して短期的に学習効果を挙げる方法は別の形でも応用できます。一定期間ある項目に絞って集中的に学習するという方法です。

同じ学習方法を延々と続けるのに比べメリハリが生まれる分新鮮感を維持しやすい他、成果を実感しやすいというメリットもあります。

この他、比較的近いところに当面の目標を設定し、それを達成したら自分にご褒美を支給するというやり方もあります。例えばテキストを一冊やり終えるとか、検定試験の過去問で合格ラインに達するとか、○○個の単語を覚えるとか、或いは一ヶ月間勉強を継続するとか、何でも構いません。

ご褒美だって何でもいいでしょう。モノでなくてもいいと思います。継続は語学の基本ですが、一年二年と続くものなのですから、数日抜いたところで大きな問題となる訳ではありません。目標達成後、ご褒美として数日間中国語の勉強から自分を解放してみてはいかがでしょうか。気分転換を図ることで、逆に学習効果が高まるかもしれません。

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Time:
2006-07-24 Last modified: 2018-08-20