ただし、中国留学で最も効果が期待できる項目である中国語会話に限って言えば、日本に居ながらにしても比較的安価で中国留学に近い学習環境を構築することができます。
ここでピンと来た人も多いのではないでしょうか。そう、インターネットを利用すればよいのです。
インターネット
インターネットはさまざまな分野に大きな影響を及ぼしていますが、語学の世界もそれに漏れません。
以前は中国に行かなければ利用できなかったもの。もしくは利用が難しかったもの、例えば新聞の購読やテレビ番組の視聴も、インターネットで手軽に、しかもその多くは無料でも利用できるようになりました。
中国人との会話もインターネットチャットサービスを利用すれば、日本の自宅に居ながらにして中国各地の人とおしゃべり・交流することができてしまいます。20世紀に語学を学んだ者としては想像だにできなかった世界が、今私たちの目の前に広がっているのです。
これを利用すれば、少なくとも中国語会話に限っては、中国留学に近い学習環境を構築することができます。しかも中国留学よりずっとお手ごろな価格で。これを利用しない手はないでしょう。
チャット
一口にインターネットチャットと言っても、文字だけのテキストチャットから電話に近い音声チャット、そしてテレビ電話を髣髴とさせるビデオチャットまで、多様な形態が存在します。
この中で比較的敷居が低いのがテキストチャットです。音声チャットやテレビ電話はマイクロフォンやカメラが必要になりますが、テキストチャットはパソコンさえあれば基本的に可能です。
文字を媒体とする会話なので、実際に口を動かす会話と同等の効果は期待できませんが、頭の中で中国語文を構築してアウトプットするという点においては口頭における中国語会話となんら相違はありません。
また、文字を入力するという作業が伴う分、返答が少し遅くなっても違和感は生じませんし、辞書ソフトと連携させることで語彙力の不足を補うことも可能です。
この他、会話記録はログとしてテキスト形式でパソコンに残りますので、復習に利用することができます。会話力が多少劣る場合はテキストチャットが無難でしょう。
他方の音声チャットとビデオチャットはそれそのもが中国語会話です。その気になれば録音することでログを取り、復習に利用することもできます。ある程度の会話力が要求されますが、そのレベルに達していたら積極的に利用したいものです。
チャット利用上の注意点
このように、中国語学習において非常に有用なインターネットチャットなのですが、一点注意すべきことがあります。それは、会話相手は中国語教師ではない、というところです。
あくまで普通のおしゃべりなのですから、相手に過度に期待してはいけません。文法や語法、習慣的な用法上のミスを修正してもらえる訳ではありませんし、そもそも相手方は娯楽として会話を楽しんでいるのですから、相手方の同意がない限り、お勉強に付き合ってもらう、という学習面を前面に押し出すことは避けることがマナーと言うものです。
したがって、まともな会話がおぼつかないレベルでは相手に失礼となります。特に音声チャットやビデオチャットは、少なくとも会話が成立するレベルまで会話力を向上させてから利用するのが好ましいのではないでしょうか。
おまけにですが、中国のインターネット社会は反日感情が強いので、日本人とわかったとたんに無視してきたり、"杀死小日本"なんて言葉を吐くカワイイ人たちもいます。歴史問題でアレコレ言ってくる人もいますので、心と知識の準備をしておいた方がいいかもしれません。
オンライン中国語会話サービス
中国語会話力に自信がないという学習者は、インターネットチャットデビューをする前に、オンライン中国語会話学習サービスなどで会話力をつけ、場慣れしておくことをおすすめします。
インターネットの普及を受けて、オンライン中国語会話教室が雨後の筍のように増殖していますが、一般的にオフラインの中国語教室や中国語学校に比べ安価なので、会話学習に限定して言えば、より高い価格効果を期待することができます。
ただ、敷居が低い分そのサービスの品質はマチマチであることも容易に想像されます。このあたりは注意した方がよいでしょう。
まぁ安価ですから、イマイチ自分には合わないと思ったら、さっと乗り換えるのも一つの手段です。乗り換えていくうちに、自分に合ったところを見つけることができるのではないでしょうか。
辞書ソフト
インターネットチャットを利用して学習を進める場合は辞書ソフトをインストールしておくと便利です。特にテキストチャットをする場合は必須と言っても良いでしょう。
おすすめは何といっても高電社のChinese Writerです。日本人向けの独自中国語IME(中国語入力システム)と連携しているので、特に中国語レベルの低い方には有用です。
辞書機能の部分に限ってですが、Chinese Writerについては次のページで詳述しています。合わせてご参照ください。